はじめに
2021年3月に、LINEによる個人情報の扱いが問題になって以来、 代替となる安全なチャットアプリを探す動きが顕著になっています。
その中で、エンドツーエンドで暗号化がなされ、 サーバに個人情報を保管しない 「Signal」 というチャットアプリが、 一部で注目を集めているようです。
このアプリはLINEの代替になるのでしょうか?
今回は、この「Signal」を使うにあたっての注意点について示します。
Signalは電話番号が相手にバレる
このアプリは、仕様としては、 サーバ上やネットワーク上の第三者に個人情報を盗み見られる心配はないと言えます。
ただし、 このアプリをLINEやTwitterと同じようなノリで使うのは慎重になったほうがよいと思います。
なぜなら、チャット相手に自分の電話番号が公開されてしまうからです。
Signalのサポートページ にはこういう記述があります。
Signal は私の連絡先に登録している人に私の電話番号を送信しますか?
Signal は、あなたがメッセージを送信するか通話を始めない限り、相手にあなたの電話番号を送信することはありません。Signal のサービス側は、ユーザーの連絡先を知りません。データはすべて、ユーザーの携帯電話が所有しています。登録通知はどこにも誰にも送信されません。通知はユーザーの携帯電話によって作成されるものです。
これを読むに、 「Signal は、あなたがメッセージを送信するか通話を始めない限り、相手にあなたの電話番号を送信することはありません。」 とあります。
しかしこれは裏をかえせば、 「メッセージを送信するか通話を始めれば、相手にあなたの電話番号を送信するよ」 ということです(!)。
つまり、電話番号を知られてもいいような関係であれば特に問題はないと思いますが、 「連絡は取りたいけど、電話番号までは知られたくない」という場合には向いていない と言えます。
確かに、第三者に対する情報漏えいの心配は少ないアプリですが、 基本的に電話番号をベースとしたリアルな人間関係を前提としており、 利用者同士では電話番号は筒抜け ということです。
実際の画面を見てみましょう。 プロフィールのところに電話番号が表示されています。
グループチャットで全員に電話番号がバレる
この仕様が特に問題となるのは、 グループチャットの場合です。
グループチャットであっても、 同じグループに所属する人のプロフィールを開くと、 電話番号が表示されます。
つまり、 同じグループに所属しているあなたの電話番号も、 グループ内の全員に知られてしまう ということです。
なお、 相手の電話番号が自分の電話帳に入ってなくても表示されます。
例えばAさんとBさんがいたとして、 お互いに電話番号は知らない、電話帳に登録もない、 という状態で、 同じグループチャットに入ると、 お互いの電話番号が筒抜けになるということです。
まぁ、電話番号を明示することにより、信頼性が高まるという面はあるかもしれませんが、 自分の情報の開示内容をコントロールできないってのは、私は個人的にはちょっとイヤですね。 LINEですら、電話番号は相手には伝わらないというのに…(^_^;
まとめ
Signalは、第三者に対する情報の秘匿性は高いかもしれませんが、 利用者同士の匿名性は低いと言えるでしょう。
利用したいのであれば、 その点をわかった上で検討しましょう。
以上、ご参考になれば幸いです。