はじめに
mixi、Facebook、Twitter、Instagram、LINE、etc...
世の中様々なSNSが登場し、百花繚乱なわけですが、 流行り続けるサービスと廃れてしまうサービスの差 はどこにあるのでしょうか。
今回は主にmixiとFacebookを題材に、その興亡を考察してみたいと思います。
※本コラムは私の個人的な見解を述べたものです。 一つの意見としてお読み頂ければ幸いです。
なぜmixiはFacebookに逆転されたのか?
2010年頃までは、日本においてSNSと言えばmixiであり、 日本最大のコミュニティとして機能していました。
しかし、Facebookが日本に徐々に浸透し、 その勢いが増していくのと反比例するようにmixiは衰退していき、 2012年にはついに逆転されてしまいました。
この理由は何だったのでしょうか?
これには色々な要因があるんだと思いますが、 最大の要因は 「実名制かどうか」 にあるのではないかと私は思います。
mixiの自滅と、Facebookの台頭
私はmixiのかなり古い会員(60万番台)なのですが、 あの頃のmixiは以下のような仕様でした。
- 招待制
- 実名制
つまり、実名で身元を明かしての交流がベースであり、 また招待制とすることで、身元不明な人が入りにくいようにしていたわけです。
そんなmixiは 「実社会の人間関係インフラ」 として爆発的に普及していきました。 「実社会の人間関係インフラ」とは、私が勝手に思っている概念ですが、 これは 「実在の人間関係をベースとした情報ネットワーク」 のようなものと定義しています。
従来、人と人との個人的なつながりは、 お互いの氏名や住所、電話番号、メールアドレス、 といったものを交換することで保たれていました。 mixiはこれをWeb上の共通プラットフォームで実現したのです。 これは大変便利で実用的なものでした。
しかしある時期から、mixiは以下のような仕様に変更されます。
- 誰でも入会可能
- 実名制の廃止
これにより、mixiは根本的に変質してしまいました。 誰でも入会可能なので、業者や身元不明なユーザーが大量に増える。 実名は非推奨とされたので、皆が仮名を使い、誰が誰だか分からない。 ある意味「匿名掲示板のようなSNS」になっていきました。
そんな感じで、次第に実社会の人間関係インフラとしての機能が失われていき、 よく分からない仕様変更をしてみたりゲームに力を入れてみたりと迷走の末、 アクティブユーザーがどんどん減って衰退の一途を辿っていきました。
最も大事なポイントは「実在の人間関係と連動していること」
衰退していったmixiに対し、Facebookは以下のような仕様でした。
- 誰でも入会可能
- 実名制
誰でも入会可能なところはmixiと同じですが、実名制であるところが大きな違いです。 実名制である、すなわち実在の人間関係と連動しているからこそ、実社会の人間関係インフラとしての役目を果たすことができる のです。 このため、大量のユーザーがmixiからFacebookへ流れていきました。 実際に私の友達も、ほとんどがmixiからFacebookへ移行していきました。
これにより、日本のSNSでトップシェアを誇っていたmixiは、 Facebookにその座を明け渡すこととなったのです。
ちなみにLINEがヒットしたのも実名制の要素があったからだと思います。 LINEは完全な実名制ではありませんが、 基本的にアカウントが電話番号に紐付いています。 通常、電話番号を交換している関係は実社会でのつながりがあるため、 Facebook同様、実社会の人間関係インフラとしての役割を果たせているのです。 そしてLINEはFacebookとは違う形でのコミュニケーションを実現したため、 この2つは共存しています。
なお、LINEと同様のチャットサービスにGoogleハングアウトがあります。 昔はGoogleトークという名前で、LINEよりはるか前から存在しており、 私は2005年くらいから愛用していました。 しかしGoogleトーク(ハングアウト)はLINEほど流行りませんでした。 電話番号ではなくメールアドレスがアカウントのベースとなっていたため、 実在の人間関係とのつながりが薄く、 実社会の人間関係インフラとしての役割を果たすまでには至らなかったからではないかと思います。
「実社会の人間関係インフラ」となっているSNSは廃れない
私は正直言ってFacebookは苦手です(^_^;) なぜなら操作が分かりにくい、何かと押しつけがましい、プライバシー管理に難有り、 謎の仕様がある、仕様がコロコロ変わる、 はっきり言ってmixiより断然使いにくいです。
しかし、Facebookは実名制を保っています。 ここがFacebookを使う最大のメリットなのです。 Facebookも「勢いに陰りが」とか「5年後には消えている」とか ずいぶん前から言われていますけども(笑)、 相変わらずトップシェアのSNSとして君臨し続けていますよね。
SNSは他にも沢山ありますが、ほとんどが匿名OKです。 匿名OKのSNSは実社会の人間関係インフラにはなり得ない (LINEのように実在の人間関係に紐付いているものは除く)ため、 Facebookの替わりにはなりません。
そして 匿名OKのSNSの場合、実社会とのつながりが希薄であるため、 ユーザーに飽きられれば使われなくなって終わり です。
しかしFacebookの場合、仮にユーザーが飽きてしまったとしても、 実社会の人間関係インフラとしての役割があるので、完全には廃れない のです。
もしFacebookが廃れるとしたら、それはFacebookが実名制をやめ、 他にもっと使いやすい実名制のSNSが出てきたときです。 「mixi → Facebook」の時の流れと同じですね。
まとめ
- Facebookがmixiを逆転したのは実名制を保っているから
- 実名制のSNSは「実社会の人間関係インフラ」として機能する
- 「実社会の人間関係インフラ」として機能しているSNSは廃れない
おわりに
もはや社会生活に大きな位置を占める存在となったSNS。 もしFacebookが実名制を捨てるようなことがあれば、 それは「Facebookの次」を探すタイミングになるのではないかと思います。
しかし流行りのSNSサービスが廃れると、それまでそのSNS内で 積み上げてきたものがある意味無に帰すわけなので、 流行のプラットフォームが変わると影響も大きいです。
実社会の人間関係インフラたる実名制のSNSは、 ぜひ、実名制を捨てることなく安定的に発展していってほしいと思います。