はじめに
不動産投資の世界において、書籍やセミナーやブログなんかで、 「○歳で資産○億円!」「○年で資産○億円作った秘密!」 みたいな表現、よく見かけますよね。
あれって、どうかなぁと思うんですよね。 まぁ「目を引くキャッチフレーズ」を考えた結果、 ああいうタイトルになっているのかもしれませんけども。
※本コラムは私の個人的な見解を述べたものです。 一つの意見としてお読み頂ければ幸いです。
資産と純資産の違い
不動産の資産額だけで裕福さを語っているものは、 ハッキリ言ってナンセンスだと思います。 なぜなら、負債を考慮に入れていないからです。 負債というのは、平たく言えば借金です。
資産から負債を引いたものを純資産といいます。 純資産は以下の計算式で導き出されます。
仮に、資産が10億円あったとしても、負債が9億9999万円あったら、純資産は1万円です(笑
資産額が無意味だとは言いませんが、資産額だけのアピールにあまり意味はないと言えます。
じゃあ「純資産○億円」だったらよいのか?
「資産○億円」がナンセンスなら、「純資産○億円」ではどうでしょう?
実はこれも、あまりアテにならない情報だと思います。 なぜなら、不動産は売った時にはじめて価値が決まるものだからです。
いわゆる不動産の「資産価値」というものは、 一般的には積算評価で行われると思いますが、 積算評価と実際の売買価格は別物です。 また、積算評価と収益性とは何の関係もなく、 肝心のキャッシュフローを測ることもできません。 積算評価が高くて嬉しいのは、 担保を取りたい銀行と、固定資産税を取りたい役所だけです。
ちなみにバブルの頃は不動産の価格がどんどん上昇しました。 いわゆる資産価値がどんどん上がっていきました。 で、バブルが崩壊してストーンと資産価値は落ちました。
でもですよ、不動産そのものには何の物理的変化もないんですよ? なのに評価がコロコロ変わる。 結局、 不動産の資産価値というもの自体が、その時点での「推測」に過ぎない ということです。
それより、毎月いくらの収益を生みだすことができるか、 という収益性のほうがより重要ではないでしょうか。
金持ち父さんの「資産」の定義
ロバート・キヨサキの 「金持ち父さん貧乏父さん」 を読んだ方ならご存知かと思いますが、 この本の中では、 「資産」とは「毎月ポケットにお金を入れてくれるもの」、 「負債」とは「毎月ポケットからお金を取っていくもの」、 と定義されています。
いわゆる世間一般で言う「資産」は、収益性を表していませんが、 ロバートの言う「資産」のほうは、収益性を表しています。 投資において、何を「資産」とみなすのか、 大変示唆に富む定義の違いだと思います。
まとめ
- 「資産○億円」だけのアピールはナンセンス
- 「資産価値」はその時点での推測に過ぎない
- 「資産」という言葉に惑わされず、収益性をしっかり見よう