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2016/07/09 created イールドギャップを整理する

イールドギャップを整理する

はじめに

皆さん、イールドギャップって聞いたことありますか? 投資の世界では時々出てくる言葉ですが、 不動産投資の世界ではどのように使っていけばよいのでしょうか。

今回はこのイールドギャップの定義について整理してみたいと思います。

世間的なイールドギャップの定義

「イールドギャップ」を単純に訳すと、「収益差」となります。

これだけでは何と何の収益差なのかが判然としませんが、一般的に不動産投資の世界では、

イールドギャップ=利回り−借入金利

という形で表現されます。 この差が大きいほど、儲かる投資という解釈になります。

しかし、「この定義は間違いで、こっちが正しい」と、 以下の様な定義を提唱している方々もおり、多少混乱が見られるようです。

イールドギャップ=実質利回り−ローン定数

一体これはどちらが正しいのでしょうか?

結論から言えば、どちらが正しい、というのはありません。 用途が異なるのです。 冒頭で述べた通り、「イールドギャップ」という言葉は「収益差」という表現でしかなく、 その定義の取りようには幅があります。 「これが正しい」と決めつけようとすること自体が不適切でしょう。

イールドギャップを3つに整理する

こういった粒の大きな言葉は定義があいまいになりがちなため、 適切な粒度に定義を分割して整理しながら使う必要があるでしょう。

例えば、収益性を測る指標で「利回り」という言葉があります。 単純に考えれば「物件価格に対する家賃年収」となりますが、 ご存知の通り、利回りの定義は「表面利回り」と「実質利回り」に分かれます。 そこから「キャッシュフロー」を導いたり、と発展していきます。

同じような整理が、イールドギャップにも必要なのではないでしょうか。 私はイールドギャップについて、以下のように整理しています。

  • 表面イールドギャップ=表面利回り−借入金利
  • 実質イールドギャップ=実質利回り−借入金利
  • 手取イールドギャップ=実質利回り−ローン定数

ではひとつひとつ、中身を見ていきましょう。

表面イールドギャップ

表面イールドギャップは、以下の様な定義と位置付けなります。

表面イールドギャップ
=表面利回り−借入金利
=(家賃収入/物件価格)−(金利返済/借入金額)

表面イールドギャップは、表面利回り同様、 基礎データとして使う指標 になります。 物件個別の運営費や融資期間などは考慮しないために、相場を語るのにも適した形です。

借入金利は投資家から見ればマイナスの利回りですので、 表面利回りと借入金利という2つの利回りを比較したときに、 最低でも物件側の利回りの方が大きくないと、投資家は儲からないことになります。

単に「利回り」と言った場合、「表面利回り」を指すのが一般的であるように、 単に「イールドギャップ」と言った場合、 この「表面イールドギャップ」であると解釈されることが多いでしょう。

基礎データとして単純に利回りと借入金利の差を測りたいときに適しているでしょう。

実質イールドギャップ

実質イールドギャップは、以下の様な定義と位置付けになります。

実質イールドギャップ
=実質利回り−借入金利
=((家賃収入−運営費)/(物件価格+購入時諸費用))−(金利返済/借入金額)

実質イールドギャップは、実質利回り同様、 物件個別の利益を測る指標 になります。 物件個別の運営費や購入時諸費用を加味して収益差を計算するため、 より現実に即した指標となります。

経費(運営費、購入時諸費用、金利返済)を全て考慮に入れているため、 実質的な利益の割合が算出されます。

物件個別の損益(収支ではない)を測りたいときに適しているでしょう。

手取イールドギャップ

手取イールドギャップは、以下の様な定義と位置付けになります。

手取イールドギャップ
=実質利回り−ローン定数
=((家賃収入−運営費)/(物件価格+購入時諸費用))−((金利返済+元本返済)/借入金額)

手取イールドギャップは、損益ではなく収支、つまり 物件個別の手取りを測る指標 になります。

ローン定数というのは年間の返済額(金利返済と元本返済)を借入金額で割ったものになります。 ちなみにこれを「銀行側から見ての利回り」と解釈するのは誤りでしょう。 返済額には元本返済が含まれますが、銀行から見れば貸したお金を返してもらっているに過ぎません。 銀行側の利益になっているのはあくまで金利返済の部分だけです。

表面イールドギャップと実質イールドギャップの場合、 銀行への返済は金利分だけを考慮していますが、 手取イールドギャップの場合は金利と元本の両方を考慮しています。 つまり支出(運営費、購入時諸費用、金利返済、元本返済)を全て考慮しているため、 実際の手取り、つまりキャッシュフローがどれだけ厚くなるか、 といったことを測るのに適した指標となります。

物件個別の収支(損益ではない)を測りたいときに適しているでしょう。

イールドギャップも使い分けが必要

収益不動産におけるイールドギャップの定義において、 「『利回り−金利』という定義では、元本返済が考慮されていないから誤りだ」 的な言説をちらほら見かけるのですが、それは単に使い分けの問題ではないでしょうか。

例えば、物件の評価をするときに使う指標として、 キャッシュフローだけが正しくて、表面利回りは無意味なのでしょうか? そんなことはないでしょう。 表面利回り、実質利回り、キャッシュフロー、 それぞれに意味があり、状況に応じて使い分けられているだけのことです。

表面イールドギャップや実質イールドギャップでは元本返済が考慮されていませんが、 損益上、元本返済は経費ではなく利益に該当します。 …と言ってしまうと分かりづらくなってしまいますので言い方を変えると、 元本を返した分だけ残債も減っている、 つまり元本返済は借りたお金を返しているだけですので、そういう意味ではプラマイゼロなのです。 元本返済は支出ではありますが、損金ではありません。 従って、表面イールドギャップや実質イールドギャップのパラメータに元本返済が含まれていなくても、 特段おかしなことではないでしょう。

これは、 「収益」というものを、「損益」で考えるか「収支」で考えるかの違い ということです。

従って、どちらが正しいとか間違っているとかいう議論自体がナンセンスなのです。 「イールドギャップの定義は1つでなければならず、そして自分の定義が正しい」 などと考える人がいるから、おかしなことになるのです。

大粒な言葉は目的に応じて定義を補足しつつ、適切に使い分けていくことが大事でしょう。

まとめ

  • 「イールドギャップ」は「収益差」であり、言葉が大粒なので複数の定義がある
  • 目的に合わせた定義を用い、混乱が予想されるときには適切に定義を補足しよう





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プロフィール
  • HN:どらり
  • 横浜在住の作曲家大家さん。30代でサラリーマンを引退し、AKB等の作曲、アパート5棟の経営、不動産スクールの講師等を行う。宅地建物取引士。元セキュリティエンジニア。
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